アイツがうちに稽古に 来る様になって暫し。 この間、言われた着物をもって 家に来たケルル。 んでも、其処までで問題発覚。 『こいつ、想った以上に不器用じゃん』 まぁ、流石に口には 出さなかったけど? 新品の紅を(奪い)取って 俺の方へ顔を向ける。 流石に幼い頃からやってりゃ ヒトにやる事も造作ねえ。 折角、顔の造作は良いんだ勿体ねぇ。 化粧は文字通り化ける手段。 間違えた方法で覚えると目も当 てられやしねぇんだ。 紅を引き終わって、鏡の前からど いてやったら不思議な顔して 鏡覗き込んでたな。 自分じゃ無いみたいって心境かもな。 慣れればそれも消えてくだろ。 ――それよりアイツは何を ボンヤリとしてたんだかな。 紅点してる間、心此処に非ずって 来たもんだ。 | │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ | 今日は舞踊のお稽古がありました。 ケルルはお化粧が嫌いなので あまりしたくないのですが、 お舞台に立つなら慣れておいた ほうがいいと、桔梗君が やってくれました。 終るとなんだかケルルが ケルルではないような気分に なって、とても不思議な 感じがしました。 でもやっぱりケルルは、 自分がお化粧するより 桔梗君が綺麗にお化粧した顔を 見ていたりするほうが楽しいな、 と思いました。 |